エンターテインメントの歴史において、「ダウト」という言葉を極限のサスペンスに昇華させた不朽の名作が存在する。ハリウッドの老舗スタジオミラマックスが製作した映画『ダウト〜あるカトリック学校で〜』だ。舞台は1964年のニューヨーク。厳格なカトリック学校を舞台に、厳格な校長シスターと、進歩的で生徒に親しまれる神父の間で巻き起こる「疑惑」を描き出す。
圧巻なのは、主演を務めた名女優メリル・ストリープと、名優フィリップ・シーモア・ホフマンによる重厚な対峙だ。確たる物理的証拠が存在しない中、自らの直感を信じて神父を追い詰める校長と、潔白を主張しながらもどこか陰影を残す神父。作品は観客に明確な白黒を与えない。傑作心理サスペンスとして名高い本作が残すのは、確信を持てないことの恐ろしさと、疑惑という底なし沼の深さだ。