この激震に対し、大手飲食企業が下した決断は早かった。業界の先陣を切って全席禁煙に舵を切った株式会社鳥貴族ホールディングスのように、クリーンな環境を全面に打ち出してファミリー層や女性客の取り込みに成功した勝ち組も存在する。タバコの煙を敬遠していた潜在顧客を掘り起こしたという意味で、この戦略は大きな成果を上げた。
しかし、一般社団法人日本フードサービス協会の動向レポートなどを紐解くと、業界全体が一枚岩で恩恵を受けたわけではないことが浮き彫りになる。酒類中心の業態では、喫煙不可となった途端に常連客が離脱し、客単価や滞在時間が目に見えて減少した店舗も少なくない。「煙草が吸えないなら長居する理由がない」という酒飲みたちのシビアな足切りが、飲食店の売上に暗い影を落とし続けている。