名古屋での成功を確固たるものにしたゼットンは、満を持して東京へ進出した。恵比寿、代官山、銀座、六本木。激戦区に次々と放たれる店舗は、いずれも「ただのレストラン」ではなかった。ハワイのライフスタイルを丸ごと持ち込んだ「アロハテーブル(Aloha Table)」はその代表例だ。
ワイキキに本店を構え、現地と同等以上の空気感を再現したアロハテーブルは、日本におけるワイキキブームの火付け役となった。単にパンケーキやロコモコを売るのではない。ハワイの心地よい風や音楽、リラックスした時間そのものを都市生活者に提供した。店舗展開はとどまることを知らず、2006年には名古屋証券取引所セントレックス(現ネクスト)への上場を果たす。
さらに稲本は、レストランウェディングの分野にも切り込んだ。画一的な結婚式場に疑問を抱いていた新郎新婦に対し、自由度の高い開放的な空間と質の高い料理を提供。さらに夏場には海辺や都市部のデッドスペースを活用した「ビアガーデン事業」を軌道に乗せる。季節変動の激しい外食シーンにおいて、夏場のアウトドア需要を爆発的な収益源に変えるビジネスモデルを確立した。