婚姻中に妊娠・出産した子どもについて、法律上は「夫の子」と強く推定されるルールが存在します(民法第772条:嫡出推定)。この法的な親子関係を覆すための手続きに関して、2026年4月1日に施行された改正民法は歴史的な転換点となりました。
旧民法下では、嫡出否認の訴えを起こせるのは「夫のみ」に限られ、その期間も「子どもの出生を知った時から1年以内」と非常に短期間に縛られていました。そのため、子どもが成長してからDNA鑑定で非血縁が判明した場合、法律上の父子関係を解消できず、夫が生涯にわたって扶養義務を負わされ続けるという理不尽な事態が頻発していました。
しかし、法務省による法改正の施行を経て、現在は「出生を知った時から3年以内」へと出訴期間が拡大されました。さらに、提訴できる権利が夫だけでなく「妻」および「子ども自身」にも拡大された点が最大の変更点です。
一方で、出訴期限である3年を過ぎてしまった場合や、民法772条の推定が及ばない例外的なケース(長期の別居などで物理的に受胎が不可能な時期の子である場合など)では、「親子関係不存在確認の訴え」を選択することになります。ただし、最高裁判所の判例では「客観的なDNA鑑定の結果が存在しても、法律上の平穏な親子関係を保護すべき」として、形式的な理由だけで父子関係の取消を安易に認めない厳格な判断基準を維持しています。法改正を経た現在でも、裁判手続きには高度な法的知識と綿密な証拠立てが求められます。