「朝起きてベランダから海を眺め、コーヒーを飲む。そんな当たり前の日常がここにはある」——洲本市の高台で中古物件を改修して暮らす40代の元都内ITエンジニアは晴れやかに語る。淡路島が注目を浴びる背景には、単なる田舎暮らしブームにとどまらない構造的な変化が存在する。パソナグループの本社機能一部移転を皮切りに、島内では多様な事業が次々と立ち上がり、雇用とインフラが飛躍的に整備された。これにより「職がない」という過疎地特有の壁が崩れ去ったのだ。
さらに自治体が推進する地方創生事業や手厚い移住・定住支援の施策が追い風となり、若年層の参入を強力に後押ししている。そのなかでも特に人気が集中しているのが平屋住宅だ。2階建てに比べて構造がシンプルで耐震補強がしやすく、屋根や外壁のメンテ費用も抑えられる。庭と居住空間がフラットにつながる開放感は、限られた都市部のマンション生活では到底味わえない贅沢だ。