大相撲の制度において最も独特であり、時に外部から「不透明」と批判を浴びてきたのが年寄名跡(としよりめいせき)、通称「年寄株」です。親方として協会に残り、相撲部屋を構えたり力士を指導したりするためには、全105名跡のいずれかを襲名しなければなりません。
年寄名跡を襲名するための主な資格要件は、日本相撲協会の寄附行為施行細則によって厳格に定められています。
- 横綱または大関を務めた力士
- 三役(関脇・小結)通算3場所または幕内通算20場所以上在位した力士
- 十両以上(関取)に通算30場所在位した力士
- 日本国籍を有していること(外国出身力士の場合、帰化が必須条件)
かつて年寄名跡は個人資産のように扱われ、数億円規模の非公式な金銭売買が行われていた歴史があります。しかし公益財団法人化の際、名跡証書はすべて協会が一括管理する形態へと改められ、名跡の売買や譲渡に関する金銭授受は公式に禁止されました。
それでも実態としては、師匠の引退に伴う無償譲渡や名跡保持者からの借株(一時的な名跡の借用)など、一門内での人間関係や後継者選定をめぐる複雑な駆け引きが今なお続いています。近年は借株の長期化を防ぐルールの厳格化や、未成年力士への指導体制を維持するための適正配置が進められています。