劇中の大門未知子は、病院長に辞令を提示されても「致しません」の一言で突っぱねる。学会発表や雑務、教授の回診といった院内政治を一切拒否し、純粋な執刀技術のみで報酬を得る姿は、視聴者に強烈な爽快感を与えた。
では、現実の医療現場に大門未知子のような存在は存在するのだろうか。結論から言えば、まったく同じスタイルで活動する医師は皆無に等しい。現場の外科手術は、執刀医一人で完結するものではなく、麻酔科医、看護師、臨床工学技士といったチーム全体の緻密なアライメントが不可欠だからだ。
それでも、特定の病院に常勤せず、高度な技術を武器に複数の医療機関を渡り歩く専門医は確実に増加している。彼らは「フリーランス」あるいは「スポット契約医」と呼ばれ、難易度の高い症例の執刀や、若手医師への技術指導を担う外部スペシャリストとして重宝されている。