大津市民病院の激震が公となった発端は、2026年春にかけて表面化した医師約30〜40名規模の一斉退職・引き揚げ問題でした。脳神経外科や消化器外科をはじめとする基幹診療科で専門医が相次いで職場を去り、一時は救急車の受入制限や手術枠の縮小に追い込まれるなど、地域医療の崩壊危機として連日メディアで報じられました。
ネット上では「待遇悪化」「過酷な労働環境」といった憶測が飛び交いましたが、報道各社の取材データおよび大津市議会・検証委員会の報告書が浮き彫りにしたのは、病院経営陣(当時の理事長・院長体制)と滋賀医科大学および現場医師団との深刻なガバナンス不全でした。トップダウン型の性急な経営改革方針や人事介入を巡り、大学医局側との信頼関係が急速に悪化。結果として大学側からの医師派遣引き揚げと現場医師の不信による辞職が連鎖する事態へと発展したのです。
医療機関において、医師の確保は大学医局との綿密な連携の上に成り立っています。この構造的リスクを軽視した組織運営の行き詰まりこそが、騒動を引き起こした決定的な理由でした。