双葉社より刊行された小説『未来』は、ある日突然、主人公のもとに届いた「未来の自分」からの手紙によって物語が動き出す。貧困、虐待、そして教室という閉鎖空間で繰り広げられる過酷なイジメ。逃げ場のない日常に喘ぐ少女にとって、その手紙は唯一の救いであり、生きるための道しるべであった。
しかし、ページをめくるごとに漂う重圧感こそが、湊かなえ作品の真骨頂と言える。ただのファンタジーや感動的な成長譚で終わるはずがない。筆者は、読者の甘い予想をあざ笑うかのように、現実のグロテスクな構造を次々と暴いていく。苦痛の先にあるものは真の希望なのか、それともさらなる絶望なのか。物語は読者を静かな狂気へと誘い込む。