修正テープで文字を完璧に隠したはずの原稿を複写すると、なぜテープの輪郭に沿って黒ずみや四角い線が現れてしまうのか。その最大の要因は、修正テープの段差が落とす影にある。オフィスの複合機やスキャナーは、原稿台ガラスの直下から非常に強いライン状の白色LEDや蛍光管の光を原稿に照射し、その反射光を受光センサー(CCDまたはCIS)で読み取る仕組みだ。
一般的な修正テープの厚みはわずか約0.02〜0.03mm(20〜30マイクロメートル)程度しかない。人間の指先ではほとんど感じ取れないほどの段差だが、スキャナーが斜めから鋭い角度で光を当てると、テープの縁に微細な影が生じる。光学解像度600dpi以上を誇る現代の複合機センサーは、このわずかな陰影を「印字された線」や「濃淡のある黒色」として極めて忠実に再現してしまう。
さらに問題を複雑にしているのが、用紙とテープの「光の反射率(白色度)と光沢感」のギャップだ。一般的なコピー用紙(PPC用紙)の白色度が約80〜85%、高級上質紙が約90%前後であるのに対し、修正テープの被覆層には酸化チタンなどの高白色顔料が凝縮されており、白色度が95%以上に達することも珍しくない。くわえてテープ表面の樹脂成分が光を正反射させると、受光素子が均一な白として認識できず、周囲とのコントラスト差を強調して修正テープのコピーによる影をより濃く焼き付けてしまうのだ。