一方で、360度すべてを観客に囲まれることは、パフォーマーにとって極限の緊張感を強いる。文字通り「隠れる場所がない」からだ。一瞬の気の緩みも、フォーメーションの乱れも、すべてが白日の下に晒される。
だが、この過酷な環境こそが、アーティストの野生的な表現力を引き出す触媒にもなっている。ある日本人ロックバンドのフロントマンは、「逃げ場がないからこそ、観客と一対一で対峙している感覚が強くなる。一度このステージを経験すると、普通のステージに戻るのが物足りなくなる」と語る。演出に頼らない、剥き出しの人間力が試される舞台なのだ。