シンボルとしてカエデが選ばれた背景には、先住民の時代から続く厳しい自然との共生がある。ヨーロッパ人が入植するはるか昔から、先住民たちは厳しい冬が明ける早春に砂糖カエデの樹液を採取し、貴重な栄養源としていた。
19世紀に入ると、カエデの葉は地域固有のアイコンとして急速に定着していく。1860年代には陸軍のバッジや記念コインに刻まれ、オリンピック選手団のユニフォームにも採用された。厳しい冬に耐え、秋には美しい紅葉で大地を染め上げるカエデの姿は、多民族が身を寄せ合うカナダの風土と精神性を象徴するにふさわしい存在だったのだ。