『赤い霊柩車』を語る上で欠かせないトピックの一つが、婚約者である黒沢春彦役のキャスティング変遷です。「春彦=神田正輝」というイメージが定着していますが、実は初期作では別の俳優が演じていました。
第1作(1992年)で黒沢春彦を演じたのは美木良介、続く第2作(1993年)では国広富之がキャスティングされていました。そして1994年放送の第3作『消えた配偶者』から神田正輝が登板し、最終回まで30年近くにわたり同役を務め上げることになります。
この初期のキャスト交代の理由について、公式からトラブル等の発表があったわけではありません。当時は単発のスペシャルドラマとしてスタートしたため、シリーズ化が本格決定する過程で各俳優のスケジュール調整が行われたこと、また片平なぎさ演じる明子とのビジュアル的な相性や大人の恋愛模様の雰囲気を考慮し、神田正輝への固定化が進んだというのが定説となっています。結果として神田正輝の柔らかな物腰と知的な佇まいが作品の大ヒットを決定づけました。