京急の代名詞として長年愛されたのが、発車時に音階を奏でる「ドレミファインバータ」(シーメンス製GTO-VVVFインバータ)だ。モーターから発せられる励磁音を音階に見立てたこの仕組みは、元々は磁気騒音を軽減するための技術的試みだったが、いつしか人々の心を惹きつける独特のカルチャーへと昇華した。
すでに全車両から姿を消したものの、現在でもYouTubeなどの動画プラットフォームでは、当時の走行音や再現映像が数百万回再生されるほどの人気を誇る。技術的な制約や無骨な機械構造の中に、どこか人間らしい愛らしさを組み込んでしまう遊び心。それこそが、時代を超えて人々を魅了し続ける京急ブランドの底力だろう。