現在でこそ劇画の代名詞として知られる池上遼一ですが、そのキャリアの黎明期には水木しげるの元アシスタントを務めていたという非常に興味深い経歴を持っています。
福井で看板屋として働きながら貸本漫画を描いていた若き池上氏は、1966年に前衛漫画雑誌『ガロ』へ『罪の告白』を発表。この作品が妖怪漫画の大家・水木しげる氏の目に留まり、直々にスカウトされて上京することになります。水木プロでは、後に伝説的漫画家となるつげ義春らと共にアシスタントとして在籍し、『ゲゲゲの鬼太郎』や『悪魔くん』などの背景作画や妖怪の点描処理などを担当していました。
水木プロでの下積み時代について池上氏は、「水木先生からは絵の技術だけでなく、人間の本質や自然への畏怖、そして何より作家として生きていくためのタフさを学んだ」と述懐しています。池上作品に見られる緻密な背景描写や、どこか物悲しさを漂わせる陰影の表現には、水木プロ時代に培われた職人技と観察眼がしっかりと息づいています。