城平京作品が世代や媒体を問わず支持される最大の理由は、徹底して鍛え上げられた多重解決と論理の強度にあります。一般的な推理劇では「いかにして隠された真実を暴くか」が主眼となりますが、城平作品では往々にして「提示された謎に対して、複数の異なる合理的な解釈をどうぶつけ合うか」が描かれます。
とりわけ『虚構推理』の原作者として見せた「怪異の存在を隠蔽するために、無数の嘘を論理的に組み立てて真実を上書きする」というアプローチは、ミステリの脱構築とも呼べる発明でした。前半に何気なく散りばめられた台詞や状況設定が、クライマックスで一気に意味を変えて収束していく鮮やかな伏線回収は、読者に極上の知的快感をもたらします。