甲子園で歴代最多勝利を誇る高嶋仁前監督からチームの指揮を託された2018年秋、周囲の期待と重圧は並大抵のものではなかった。かつて1997年夏に主将・捕手としてチームを全国制覇へ導いた中谷氏にとって、母校のグラウンドに戻る決意は自らの野球人生を賭けた挑戦でもあった。
「偉大な恩師の足跡を追うだけでは、現代の激動する高校野球には勝ち残れない」。就任直後からそう直感していた中谷監督は、高嶋流の熱血指導と勝負勘をリスペクトしながらも、自らのプロ経験で得た知識を徐々に落とし込んでいった。単なるスパルタ指導からの脱却。選手一人ひとりと対話し、納得感を持ってプレーさせる姿勢が、新生・智弁和歌山の強固な基盤となった。