マウンド上で相手打者を打ち取っていたあの春から20年以上。比嘉監督の指導スタイルは、時代とともにしなやかな変容を遂げてきた。かつては自らの体験に基づいた厳格なコントロール重視の指導方針が中心だったが、現在の沖尚スタイルは一味違う。重視されるのは「選手自身がグラウンド上でどう判断し、どう行動するか」という圧倒的な当事者意識だ。
試合中のピンチの場面、監督がベンチから矢継ぎ早に指示を出し切るのではなく、キャッチャーや伝令の選手がその場で相手の狙いを見抜き、最適な配球や守備位置を自発的に選択する。監督が与えるのは命令ではなく、判断のための「問い」だ。「今、相手が一番嫌がっている攻撃は何か?」——その問いかけが、土壇場での球児たちの集中力を一気に研ぎ澄まさせる。