作品が放つリアリズムの波紋は、映画業界だけに留まらない。世界の海上物流を根底から支える海運業の脆弱性や、最新の自動航行システムが抱えるサイバーセキュリティ上の死角を描いたことで、国際海事機関(IMO)の関係者の間でも大きな話題を集めている。
従来のディザスター映画といえば、単なる自然災害の猛威やパニック現象を中心に据えるものが多かった。しかし本作は、極限状態における組織の意思決定の難しさや、グローバル流通の最前線で働く船員たちの苦悩を泥臭く描写。パニック映画の枠組みを超えた、極めて社会性の高いサスペンスとして評価を高めている。