戸谷の表現者としてのルーツを辿ると、父親であり名声優として数々の名作を彩った故・戸谷公(あきら)氏の存在に行き当たる。アニメ『機動戦士ガンダム』のレコア・カンドの同僚役や『聖闘士星矢』の山羊座のシュラ役など、昭和から平成にかけて数多くの名キャラクターに命を吹き込んだ人物だ。
偉大な父を持つ表現者特有の重圧を感じさせつつも、戸谷自身は父への敬意を胸に、自らの声と芝居を磨き上げてきた。低音の響きや言葉の端々に漂う品格には、たしかに血脈を感じさせるものがある。父の背中を追いかけながらも、自分だけのオリジナリティを確立した姿は、多くの業界関係者から温かい眼差しで受け止められている。