ネット上のQ&Aサイトや若手社員のSNS投稿などで頻繁に見受けられるのが、「上司や取引先の提案に対して『餅は餅屋ですね』と返答して叱責された」というトラブルです。「餅は餅屋」は一見ポジティブな表現ですが、上下関係や利害関係が存在する環境では、言葉の裏に潜むニュアンスへの配慮が不可欠です。
例えば、上司が良かれと思って業務のアドバイスをくれた際に、部下が「餅は餅屋ですから、現場の専門スタッフに任せてください」と発言した場合、相手には「あなたは専門外なのだから余計な口出しをしないでほしい」という侮辱や拒絶の響きとして届いてしまいます。目上の人物に対してことわざを直接ぶつける行為自体が、日本語のマナーとして「教訓めいた無礼な物言い」と見なされる傾向があります。
上司や顧客に対して専門性を尊重したい場合は、「ことわざ」を直接引用するのを避け、「この分野のプロフェッショナルでいらっしゃる〇〇部長のご見解を仰ぎたく存じます」「専門領域に長けた外部パートナーの力を借りたいと考えております」といった、謙譲と敬意を込めた言い換えを用いるのが鉄則です。