体育館の一角に身を置いた瞬間、最初に襲ってくるのは「常に誰かの視線に晒される」という精神的ストレスだ。過去の過酷な現場を記録した危機管理ドキュメンタリーでも度々描かれるように、着替えや授乳、就寝時の不安は被災者の心をじわじわと削り取る。
国が示す避難所運営ガイドラインでは、プライバシー用パーテーションの設置や男女別のスペース確保が推奨されている。しかし、災害発生直後の混乱期にすべての避難所へ即座にパーティションが行き渡るわけではない。内閣府防災担当がまとめた報告書を見ても、開設初期の物資不足は避けられない現実として指摘されている。
現場で実際に役立つのは、身近な持ち物を駆使した自衛策だ。大型ポンチョを頭から被って着替えを行う手法や、スーツケースと段ボールを組み合わせて視線を遮る壁を作る工夫は、知っているかどうかで安心感が大きく変わる。周囲の雑音による睡眠不足を防ぐため、耳栓やアイマスクを非常持ち出し袋へ常備しておくことも有効な手立てとなる。