新千歳空港から車をわずかに走らせると、巨大な建設クレーン群が空を突く異様な光景が視界に飛び込んでくる。次世代半導体の国産化を掲げるラピダスの試作ライン稼働に伴い、周辺地域には国内外の関連企業が次々と進出。地価の上昇率は全国トップクラスを記録し、地元の賃貸住宅は連日争奪戦の様相を呈している。「半導体景気」の波に乗る事業者が歓喜する一方で、長年暮らしてきた地元住民からは「家賃が吊り上げられ、住み続けられない」という切実な声も漏れる。
生活インフラの拡充は到底追いついていない。通勤ラッシュ時の幹線道路では絶え間ない渋滞が発生し、地元自治体は水道インフラや学校施設の急拡大に追われている。民間主導の猛烈な成長スピードに対し、行政側の基盤整備が後手に回る光景は、急激な経済構造の変化が生み出した生々しい摩擦の証左と言える。