五輪という最大の目的を果たした後も、なぜ猫ひろしはカンボジア国籍を保持し続けているのだろうか。
生活の拠点を日本に置く外国人として暮らすことは、行政手続きやビザの更新、税金面など、現実的な煩わしさが常につきまとう。それでも彼が日本国籍に戻さない最大の理由は、カンボジアに対する「誠義」にある。
五輪に出たいという個人的なエゴから始まった挑戦を、温かく受け入れてくれた国と人々。もし目的を果たした途端に国籍を日本へ戻してしまえば、それこそ「五輪出場のためだけに国籍を利用した」という批判を自ら肯定することになってしまう。彼は現在もカンボジアの陸上発展のための支援活動を継続しており、日本とカンボジアを繋ぐ文化・スポーツの架け橋としての役割を全うしているのだ。