では、現場で真に機能するBCPはどのように構築すべきなのでしょうか。中小企業庁が策定する「中小企業BCP策定運用指針」をベースに、無理なく着手できる5つの実践手順を整理しました。
ステップ1:基本方針の策定と体制構築
企業の存在意義、従業員の雇用維持、取引先への供給責任など、事業継続の基本理念を経営トップが宣言します。同時に、有事の際に意思決定を行う「緊急対策本部」の指揮系統と、各部門の役割分担を1枚の組織図に落とし込みます。
ステップ2:事業インパクト分析(BIA)と中核事業の選定
すべての事業を同時に再開させることは不可能です。売上の大半を占める事業や、供給が途絶えると社会的影響が大きい「中核事業」を1〜2つに絞り込みます。その上で、「許容限界停止時間」と「目標復旧時間(RTO)」を定め、ボトルネックとなる経営資源(設備、IT、人員、部材)を洗い出します。
ステップ3:事前対策の実施と代替策の確保
中核事業を継続するための具体的手段を講じます。設備の転倒防止や耐震化に加え、以下の「代替手段」を事前契約・準備しておくことが肝要です。
- 拠点・設備:テレワーク環境の整備、同業他社との相互応援協定、代替工場の確保
- 調達先:特定サプライヤーへの依存を避ける複線化(マルチソーシング)
- IT基盤:クラウドストレージへのデータ二重化、遠隔バックアップ体制の構築
ステップ4:緊急時対応マニュアルの策定と財務基盤の確保
初動フェーズ(発災〜24時間)、復旧フェーズ(24〜72時間)、継続フェーズ(3日〜数週間)ごとに、誰が何をすべきかをチェックリスト形式の「緊急時対応マニュアル」にまとめます。また、操業停止期間を乗り切るための運転資金確保に向け、被災時融資枠の設定や休業損害をカバーする企業財産包括保険への加入も欠かせません。
ステップ5:教育・訓練の実施と継続的改善(PDCA)
策定したマニュアルをもとに、年1〜2回の机上シミュレーション訓練や安否確認訓練を実施します。訓練で見つかった不備や、人事異動、取引先の変更に合わせて計画を定期的に改訂します。