1977年版の呪術的ホラーテイストに対し、以降の作品群はミステリーとしての論理構造やキャラクターの内面描写を深めるアプローチを取っています。
市川崑監督がメガホンを取った1996年映画版では、豊川悦司が金田一耕助に抜擢されました。長身痩躯にクールな佇まい、知的な低音ボイスで事件を解き明かす新世代の金田一像を提示し、辰弥役の高橋和也とのバディ的な距離感を描き出しました。
2004年のフジテレビ系ドラマ版では、稲垣吾郎が当たり役となった金田一シリーズの第2弾として登場。辰弥役に抜擢されたのは若き日の藤原竜也でした。藤原竜也が得意とする「絶望に追い詰められた青年の絶叫と悲哀」が遺憾なく発揮され、田治見要蔵役の吹越満によるエキセントリックな怪演と相まって、お茶の間に強烈なインパクトを残しました。
2019年のNHKスーパープレミアム版は、令和の幕開けにふさわしい大胆なキャスティングを敢行しました。吉川晃司演じる金田一耕助は、白髪交じりの短髪にスーツという歴代で最も屈強かつハードボイルドな造形。対する寺田辰弥には志尊淳が起用され、運命に翻弄されながらも真実を求める青年の葛藤を瑞々しく演じ切りました。真木よう子演じる美也子との妖艶な心理戦は、従来の土着ホラーから上質な心理サスペンスへと昇華した好例です。