岐阜県内を移動すると、誰もがその気候の二面性に驚かされる。南部の美濃地方は濃尾平野の北端に位置し、夏場は太平洋からの暖かく湿った空気にさらされやすい。そこに山を越えて吹き下ろすフェーン現象が加わることで、40度近い危険な酷暑を記録することが珍しくない。一方で、北部の飛騨地方は標高3,000メートル級の北アルプスに抱かれた山岳地帯だ。冬になれば日本海からの雪雲がダイレクトに流れ込み、一晩で数センチから数十センチの銀世界へと様変わりする。
この劇的な違いを生み出している最大の要因は、県内を南北に分断する巨大な山塊群だ。南からの湿った風は山にぶつかって激しい上昇気流を生み、北からの冷気は谷沿いに閉じ込められる。同じ県内でありながら、南で熱中症アラートが鳴り響く傍ら、北では除雪車が出動準備を進める。そんな極端な風景が、同一の日に隣り合わせで展開されているのだ。