数ある献立の中でも、訪れた人の大半が注文するのが「からすみ蕎麦」です。冷水でしっかりと締められた喉越しの良い細切り蕎麦の上に、惜しげもなく削りかけられた黄金色のからすみが山を築きます。からすみの濃厚な塩気と芳醇な磯の香り、そして上品な蕎麦つゆと油のコクが絶妙に絡み合い、お酒のつまみとしても食事としても極上の完成度を誇ります。高級和食店であればこれ一品で数千円を請求されても不思議ではないクオリティが、手頃な一皿として提供されている点は驚嘆に値します。
もう一つの絶対的主役が、注文を受けてから土鍋や特製釜で一から炊き上げる「鯛めし」です。真鯛のアラから丁寧に引いた極上の出汁で炊き込まれたご飯は、米の一粒ひとつぶに魚の旨味が凝縮されています。ふっくらとした鯛の身をほぐしながらいただく最初の一杯はもちろん、添えられた薬味や特製出汁をかけて出汁茶漬けとして楽しむ締めの一杯まで、計算し尽くされた構成です。
その他にも、A5ランク黒毛和牛を使用した肉料理、料理長が毎朝目利きする旬の鮮魚のお造り盛り合わせなど、俺のシリーズが培ってきた食材調達力が光る逸品がずらりと並びます。季節ごとに旬の山菜や鱧(はも)、松茸、寒鰤(かんぶり)といった四季折々の限定品が登場するのも、リピーターを飽きさせない大きな魅力となっています。