アメリカンワイヤーヘアの歴史と起源は、1966年のアメリカ・ニューヨーク州ヴェローナにある農場で幕を開けました。ある日、一般的な家庭猫(ドメスティックショートヘア)の母猫から生まれた6匹の子猫の中に、スチールウールのように硬く縮れた赤白の被毛と縮れたヒゲを持つ特異なオスの子猫が1匹だけ混ざっていました。この「アダム(Adam)」と名付けられた子猫こそが、すべての純血アメリカンワイヤーヘアの共通祖先です。
当時、近隣で猫のブリーディングを行っていたジョーン・オシェイ(Joan O'Shea)氏がこの子猫の特異性にいち早く着目し、入手後に計画繁殖を開始。遺伝子検査の結果、コーニッシュレックスやデボンレックスなどの劣性遺伝による縮れ毛とは異なり、常染色体優性遺伝(完全優性)によってこの毛質が発現していることが判明しました。その後、健全な遺伝的多様性を確保するためにアメリカンショートヘアとの交配が進められ、1978年にはCFA(The Cat Fanciers' Association)で正式なチャンピオンシップ登録猫種として承認されました。
見た目が酷似していることから「アメリカンワイヤーヘアとアメショとの違いは何なのか」という疑問が頻繁に寄せられます。両者の骨格やサイズ感、頑丈な体躯(セミコビータイプ)は共通しているものの、以下の点において明確に区別されます。
- 被毛の質感と構造:アメショが滑らかで密生した硬めの直毛であるのに対し、ワイヤーヘアは1本1本の毛先が折れ曲がり、フック状やスパイラル状にカールしています。触感はまるで上質なナイロンブラシやスプリングのような弾力があります。
- ヒゲや耳毛の形状:被毛だけでなく、ヒゲ(洞毛)や眉毛、耳の内側に生える飾り毛に至るまで完全に波打って縮れています。
- 希少性と血統プール:優性遺伝であるため片親がワイヤーヘアであれば子猫に特徴が遺伝するものの、世界的な個体数そのものが極端に少なく、計画的な血統管理のもとでのみ維持されています。