港区赤坂1丁目と虎ノ門2丁目の境界に位置する霊南坂。その西側に広がる広大な敷地に、駐日アメリカ合衆国大使館が堂々と佇んでいます。向かいにはホテルオークラ東京や大倉集古館が並び、都心屈指の格式高いエリアとして知られていますが、周囲には常に警視庁の機動隊車両が配備され、張り詰めた空気を漂わせています。
アメリカ大使館の警備を日本の警察が厳重に行う理由は、国際条約である「外交関係に関するウィーン条約第22条」に基づき、受入国である日本政府に公館の安寧を保護する国際法上の義務が課せられているためです。過去の国際テロ情勢や要人警護の観点からも、日本国内で最も警備レベルが高いエリアの一つとして維持されています。
敷地内には、白を基調とした機能的な本館オフィスのほか、緑豊かな庭園に囲まれた歴史的な大使公邸が配置されています。1931年に完成した大使公邸は、米国政府が海外に建設した公邸として極めて初期の歴史的建造物であり、昭和天皇とマッカーサー元帥による歴史的な会見が行われた場所としても広く知られています。公邸の内部は格調高い調度品と現代アートが調和した構造となっており、日米外交の最高峰の舞台として機能し続けています。
2026年に上院承認を経て着任したジョセフ・グラス駐日大使のもとでも、金融・テクノロジー・安全保障など多岐にわたる二国間対話の拠点として、本館オフィスでは連日多くの外交官や現地スタッフが緊迫した実務に当たっています。