屋号が「阿闍梨餅本舗」であることから、多くの人はこの店を「阿闍梨餅の専門店」と誤認しがちです。しかし、本来の社名は「満月」であり、阿闍梨餅は大正期に二代目が比叡山の千日回峰行を行う阿闍梨の網代笠(あじろがさ)を模して考案した商品です。そして、創業時から伝わる真の看板菓子こそが、銘菓「満月」にほかなりません。
この銘菓「満月」は、厳選された上質なたんぱく質の白小豆(しろあずき)を贅沢に用いた白こし餡を、特別な配合の焼き皮で包み込んだ格式高い焼き菓子です。白小豆特有の上品なコクときめ細やかな口どけは、和菓子通を唸らせる極上の仕上がりを誇ります。しかし、希少な原材料の確保と極めて繊細な職人技を要するため大量生産ができず、現在は本店の店頭限定かつ金曜日・土曜日・日曜日・祝日のみの限定販売という非常に限られた条件下でしか提供されていません。
さらに店内には、蜜漬けの小豆を寒天で固めた棹物菓子「京納言」や最中など、主要百貨店の常設ブースでは滅多に並ばない伝統銘菓が鎮座しています。阿闍梨餅という大ヒット作の陰に隠れた、老舗が守り続ける本来の菓匠としての矜持に触れられる点も、本店を訪れるべき強力な動機となっています。