原作者・芥見下々が描く世界は、努力や友情が必ずしも奇跡を起こさない。血統と才能が全てを支配する呪術の理不尽さを、これでもかと読者に突きつける。多くの作品であれば、覚醒イベントを経て強大な力を手に入れるはずのポジションにいながら、彼女は最後まで「刀を振るえなくなった普通の少女」の枠を出なかった。
だが、この徹底した無力感の描写こそが、作品に類を見ない緊迫感と深みを与えた。MAPPAの圧倒的な映像美学とともに、日本のアニメーション産業が世界を席巻する要因は、単なる爽快感の提供にとどまらない、こうした容赦のない人間の限界と美学の描写にある。