夜空に弾ける光の刹那を画面に留めようとした先人たちの試みは、日本の美術史を鮮烈に彩っている。江戸の浮世絵師である葛飾北斎は、両国の川開きに集う群衆と上空に散る火花を、大胆な構図と研ぎ澄まされた線描で見事に捉えた。黒と藍のグラデーションの中に走る鋭い線は、当時の人々の歓声まで紙上に封じ込めている。
貼り絵の奇才として知られる山下清が遺した長岡の花火は、その極致と言っていい。ちぎり取られた色紙の重なりが放つ圧倒的な立体感と発光感は、印刷物越しであっても観る者の視覚を激しく揺さぶる。細片の集積によって闇を押し広げるエネルギーは、技法を超えて本物の光を想起させる力を持っている。