芳賀書店を語る上で絶対に欠かせないのが、単なる小売書店の枠を遥かに超えていた芳賀書店の出版事業です。創業から現在に至る芳賀書店の歴史と経緯を辿ると、映画史や大衆芸能史に決定的な足跡を残したことが明確に分かります。
その代表格が、1970年代から長年にわたり刊行された『シネアルバム』シリーズです。国内外の名優、監督、特定ジャンルの映画スチールや詳細なフィルモグラフィーを網羅したこのシリーズは、インターネットのない時代において、映画ファンや映画製作者にとっての「バイブル」として愛読されました。オードリー・ヘプバーンやマリリン・モンローといった海外スターから、日活アクション、東映任侠映画に至るまで、その網羅性と質の高いビジュアルレイアウトは圧巻の一言でした。
さらに、1970〜80年代のアイドルブームやグラビア表現の黎明期において、芳賀書店の写真集は一歩先を行くエッジの効いた企画力で市場を牽引しました。時代の空気を大胆に切り取る編集センスは、後年のビジュアルブック市場に決定的な影響を与えたと批評家筋からも高く評価されています。