ベトナム代表が見せた組織力は、決して偶然の産物ではありませんでした。当時チームを率いたフィリップ・トルシエ監督は、かつて2002年日韓ワールドカップで日本代表を指揮し、日本サッカーの育成構造や選手の思考パターンを熟知していた人物です。
公式会見や手記でも明かされた通り、ベトナム側は徹底して「日本のサイドバック裏のスペース」と「リスタート時のポジショニングの隙」を研究し尽くしていました。前半に見せた鮮やかなヘディングループシュートによる同点弾、そしてセットプレーの混戦から押し込んだ逆転ゴールは、完全に計算されたデザインプレーの賜物でした。
対する森保ジャパンは、ハーフタイムを境にポジショナルな配置を修正。中央のブロックを固める相手に対し、サイドの幅を目一杯使ったアイソレーションと、インサイドハーフのインナーラップを組み合わせることでベトナムの体力を削り取りました。戦術的な混乱をピッチ内のリーダーシップで即座に修正できる層の厚さこそが、最終的な勝敗を分けた本質的要因です。