池袋の夜を語るうえで絶対に外せないのが、千円でべろべろに酔えるいわゆる「せんべろ」の文化だ。赤提灯が風に揺れ、煮込みの香気が漂う老舗の大衆酒場には、今夜も吸い寄せられるように客が集まってくる。
かつて作家の久住昌之氏が原案を手掛けた『孤独のグルメ』や、酒場詩人・吉田類氏の『吉田類の酒場放浪記』でも取り上げられたような、味わい深い名店が西口や北口エリアには今なお健在だ。カウンター越しに繰り広げられる店主との掛け合いや、パイプ椅子に腰かけて傾けるホッピーの味覚は、デジタル化が進む都市の中で貴重な温もりを提供している。