モビールという文化は、20世紀を代表する彫刻家アレクサンダー・カルダーによって芸術の域へと引き上げられた。しかし、tempoのモビールは美術工芸品の域に留まらない。ものづくりの街として知られる群馬県足利市で産声を上げたmother toolの技術基盤力と、現代建築・デザインの第一線で活躍するクリエイターたちの思想が融合して完成した。
構造は驚くほど繊細だ。数ミリメートル単位の歪みが、モビール全体の回転軸を狂わせる。tempoの工房では、職人の手によって一つひとつのパーツが組み立てられ、重力との均衡がミリ単位で追い込まれる。機械による量産品では到達できない無重量感。この職人技こそが、微風に反応して滑らかに旋回する美しい挙動を支えている。