類まれな才能はいかにして育まれたのか――その鍵は、両親が築いた極めてバランスの良い音楽環境にあります。ネット上では「実家はどんな資産家なのか」「親のスパルタ指導があったのではないか」といった詮索が散見されますが、実際の家庭環境は極めて合理的かつプロフェッショナルなものでした。
父親の吉村龍太氏は、数々の著名アーティストのライブサポートや楽曲アレンジ、劇伴音楽を手掛ける敏腕音楽プロデューサー・キーボーディストです。商業音楽の第一線で「聴衆の心を掴む音作り」と「プロとしてのシビアな現場感覚」を知り尽くした人物です。
一方、母親の吉村知子氏は、桐朋学園大学を卒業した実力派のクラシックバイオリニストであり、室内楽やオーケストラでの豊富な演奏経験を持っています。幼少期のHIMARIに対してバイオリンの基礎手ほどきを行い、楽器の構え方や弓の扱いなど、微細な技術の土台を徹底的に築き上げました。
テレビ特番の密着ドキュメンタリーや音楽誌のインタビューにおいて、両親は「無理強いして練習させたことは一度もない」と口を揃えます。父親が持つポップス・商業音楽の客観的視点と、母親が持つクラシックの厳密な職人技。この双方が絶妙に融合したことで、HIMARIは重苦しいプレッシャーに潰されることなく、純粋な探求心として音楽に没頭することができたのです。