上野広小路の交差点から一本入った通りに、独特の活気が満ちている。客の目的はただ一つ、鉄板から上がったばかりの温かいどら焼きだ。「温かい状態でお召し上がりいただくのが一番です」と語る店員の言葉通り、テイクアウトした直後に近くの公園や店先で頬張り始める人々の姿は、いまや上野の日常風景となっている。
皮の表面はきつね色に輝き、手に持つと吸い付くような柔らかさとほのかな温もりが伝わる。割ると中からあふれ出すのは、瑞々しさを保ったつぶ餡だ。一般的な固めの餡とは異なり、液体と固体の中間のようななめらかさ。この「出来たて10分間」にしか味わえない食感のコントラストこそが、早朝から人々を行列へと突き動かす最大の理由である。