1990年代後半、ワイドショーの紙面を連日賑わせた「ミッチー・サッチー騒動」を記憶している人も多いだろう。野村沙知代との正面衝突は、単なる芸能人の喧嘩の枠を超え、日本中を巻き込む一大社会現象へと発展した。
筋の通らないことには一切屈しない浅香の信念と竹を割ったような性格が、芸能界の歪みに対する異議申し立てとして視聴者の共感を呼んだ。芸に生き、命をかけて舞台を守ってきた本物の女優だからこそ、曲がった言動を許せなかったのだ。あの騒動の本質は、浅香光代という一人の表現者が貫き通した「道義とプライド」のあらわれでもあった。