ミソジニー(英語:misogyny)は、学術・社会運動の文脈では単なる個人的な「女性嫌い」を超えた、女性に対する差別的・抑圧的な態度や文化全般を指すフェミニズム関連用語です。社会学者の上野千鶴子氏の著作や、哲学者ケイト・マン氏が提唱した理論によって広く知られるようになりました。
ケイト・マン氏の定義によると、性差別(セクシズム)が「男女の不平等を正当化するイデオロギー」であるのに対し、ミソジニーは「その不平等なジェンダー秩序を守るための警察的役割(法執行機関)」として機能します。つまり、「都合の良い役割(ケア役や従属的な立場)」を受け入れる女性は称賛され、そこから逸脱して自己主張したり権力を握ろうとしたりする女性に対して、激しいバッシングや敵意が向けられる現象こそがミソジニーの中核です。
混同されやすい「男尊女卑」との違いについて整理しましょう。男尊女卑は主に「男性を尊び、女性を低くみなす」という歴史的・制度的な序列観念を指します。一方、ミソジニーは「規範に従わない女性への懲罰的感情・敵意」という、より動的な心理的・社会的リアクションを包含しています。「女性を愛している」と自認する男性であっても、「女性はこうあるべきだ」という規範を押し付け、逸脱した女性を軽視・攻撃するならば、それはミソジニーの構造に当てはまります。