王道の人気作以外にも、三谷幸喜の真骨頂を味わえる珠玉の作品群が存在します。
1997年放送の『総理と呼ばないで』(田村正和主演)は、架空の国を舞台に支持率ほぼゼロの内閣総理大臣と官邸スタッフたちのドタバタを描いた政治シチュエーションコメディ。役名がすべて「総理」「官房長官」などの役職名で統一されている実験的な構成ながら、現代の政治状況にも通じる風刺が効いた隠れた傑作です。
また、アガサ・クリスティの名作を昭和初期の日本を舞台に大胆翻案したスペシャルドラマ『オリエント急行殺人事件』(2015年)や『黒井戸殺し』(2018年、野村萬斎主演)では、原作への深いリスペクトを払いつつ、三谷流の心理描写と驚愕のトリック再現を見事に両立させました。