なぜ人々は姿を消すのか。従来、失踪の原因といえば事業の失敗や借金、男女関係といった人生の破綻に伴うものが大半を占めていた。しかし、現在の失踪原因の構造は大きく変容している。特に急増しているのが、高齢化に伴う認知症徘徊だ。厚生労働省の推計でも認知症患者の増加は著しく、散歩の途中で自宅への帰り道を失い、そのまま行方不明になるケースが全国で相次いでいる。
一方で、10代から20代の若年層における突発的な失踪も深刻化している。背景にあるのはSNSを通じた人間関係の複雑化やオンライン上のコミュニティへの傾倒だ。いわゆる「プチ失踪」のように突如連絡を絶ち、見知らぬ都市や人物のもとへ身を寄せる若者が後を絶たない。経済的な困窮や家庭内暴力(DV)から逃れるための「緊急避難的な失踪」も含め、原因は多岐にわたり、社会の網の目からこぼれ落ちるルートが多様化している。