本格的に落語界へ飛び込むにあたり、彼は上方落語の重鎮である月亭八方に弟子入りを志願する。「月亭方正」という高座名を授かり、修業の日々が始まった。芸能界で20年以上のキャリアを持つベテランが、一から前座のような心構えで古典落語を学ぶ。その姿は、伝統を重んじる一門の弟子たちにも大きな刺激を与えた。
「テレビタレントの道楽」と思われることだけは絶対に避けたかった。だからこそ、彼は稽古に次ぐ稽古を重ねた。古典の演目を丸暗記するだけでなく、噺の中に出てくる江戸や大坂の市井の人々の息遣いを表現するため、立ち振る舞いや声の抑揚まで徹底的に磨き上げたのである。