物語の時代背景は、世界が核の炎に包まれた最終戦争の直前。各地で核ミサイルの警報が鳴り響く混乱の最中、トキは弟弟子であるケンシロウとその婚約者ユリア、そして逃げ遅れた大勢の子供たちを連れて地下の頑丈な核シェルターへと辿り着きました。
シェルターへ全員を押し込んだ直後、扉を閉める機構に問題が生じ、内部からの操作では完全に密閉できない緊急事態が発生します。外には迫り来る核の閃光と放射能の熱波。迷う猶予が一切ない極限状況において、トキは躊躇することなく自ら扉の外側に立ち、重厚なハッチを外から押し込んでロックをかけました。窓越しに泣き叫び、扉を開けようと叫ぶケンシロウに対し、トキは穏やかな笑みを浮かべながら別れを告げたのです。
この結果、トキは大量の死の灰(放射能)を直接被爆することとなり、白髪となって喀血を繰り返す不治の病を患います。北斗神拳史上最も華麗な技を持つ男が、伝承者の道を自ら降り、残された命を医療と人々の救済に捧げることを決意した、まさに『北斗の拳』という作品の精神性を象徴する最重要シーンとなりました。