社会学には、誰もが自由に利用できる共有資源(コモンズ)において、個々人が利己的な利用を続けた結果、資源そのものが枯渇・崩壊に至る「コモンズの悲劇」という概念がある。美瑛の丘陵風景は、公的に整備されたテーマパークではなく、農家が私費と労力を投じて守り続けてきた私有財産の集合体だ。風景という「美の恵み」を享受する側が敬意と節度を失えば、哲学の木と同じく、所有者による防衛的伐採という破滅的な結末を迎えることになる。
この景観を前にして、私たちが問われているのは「観光者としての品格」である。トラブルを未然に防ぎ、美瑛の美しい景観と共生するために、現地訪問に向いている人と見合わせるべき人の基準を明確に提示する。
現地訪問をおすすめできる人
- 農地保護の意義を正しく理解できる人:雪の下にある作物の存在を知り、道路のアスファルトや除雪された境界から一歩も出ずに鑑賞できる高いリテラシーを持つ人。
- 適切な機材と準備を備えている人:遠くからでも美しい構図を切り取れる望遠レンズを持参し、氷点下の酷寒に耐えうる防寒装備と冬道運転の技術を備えている人。
- 静寂と自然の光を楽しめる人:ライトアップや派手な演出を求めず、沈みゆく太陽と雪原の陰影が織りなす静寂の美を心静かに受け止められる人。
訪問を慎重に見合わせるべき・おすすめできない人
- 「映え」やSNSの自己顕示を最優先する人:木に近づいてポーズを撮りたい人や、立ち入り禁止看板の境界を曖昧にして足を踏み入れようとする人。
- 雪道運転の経験が浅い人:滑り止めや四輪駆動の知識がなく、凍結路面や視界不良の吹雪にパニックを起こすリスクのあるドライバー。無理な自走は命に関わる。
- 路上駐車や待ち時間を割り切れない人:駐車場がないことに不満を抱き、交通を妨害してでも車を無理やり停めようとする人。丘のまち美瑛の人気観光スポットには、大型駐車場と展望施設が整った「四季彩の丘」や「新栄の丘展望公園」が多数存在するため、そちらへの目的地変更を強く推奨する。