21世紀に入り、文化は巨大な経済資源としての側面を一段と強めた。いわゆる文化産業の躍進である。ローカルな文脈で作られた表現が、デジタルプラットフォームを通じて一瞬にして世界中に波及する構造が完成した。その象徴的な例が、濱口竜介監督の映画『Drive My Car』の世界的評価だ。村上春樹の短編小説を原作とし、多言語が交錯する劇中劇を描いた同作は、言葉や国境の壁を超えて深い共感を呼び起こし、米アカデミー賞国際長編映画賞を受賞した。
このような映像表現のグローバル展開を強力に加速させているのが、Netflixをはじめとする国際的な配信プラットフォームの存在だ。かつてはローカルなサブカルチャーや一国のポップカルチャーに過ぎなかったコンテンツが、数億人の視聴者に同時に届けられることで、国境を越えた新たな文化圏を作り出している。もはやポップカルチャーは単なる娯楽ではなく、国家のソフトパワーや経済を牽引する主要産業として機能している。