近年、美容・コスメ業界のトレンドが「盛り」から「エフォートレスな透明感」へとシフトする一方で、眼科医からの警告が相次いでいる。日本眼科医会をはじめとする専門家組織が警鐘を鳴らすのが、粘膜ラインへの過度なアイメイクが引き起こすトラブルだ。
まぶたの縁、まつ毛の生え際の内側には「マイボーム腺」と呼ばれる皮脂腺の開口部が並んでいる。涙の蒸発を防ぎ、目の潤いを保つための油分を分泌する極めて重要な器官だ。このマイボーム腺をアイライナーで塗りつぶしてしまうと、油分の出口が塞がれ、重度のドライアイや「ものもらい(霰粒腫・麦粒腫)」、さらには慢性の眼瞼炎を引き起こすリスクが高まる。
美容皮膚科の臨床現場でも、キワへの過剰な刺激による色素沈着やまぶたのたるみを訴える相談が増加している。デカ目に見せたいという一心で粘膜を黒く塗りつぶす行為は、将来の目元のハリと眼球の健康を削り取る行為に等しい。「美しさは健康な土台の上にしか成り立たない」という事実を、今一度認識する必要がある。