土居志央梨の芝居に見られるブレない重心と無駄のない身体操作は、彼女の類まれな経歴に深く根ざしています。彼女は3歳から高校卒業までの15年間、クラシックバレエに没頭していました。
バレエ団のプロを目指して過酷なレッスンに明け暮れた日々は、強靭な体幹と、言葉を発さずとも感情を空間に伝える「身体言語」を彼女の肉体に刻み込みました。しかし高校3年生の時、将来を見つめ直す中で「身体だけでなく言葉を使って表現したい」という強い衝動に駆られ、演劇の道へ舵を切る決断を下します。
進学先に選んだのは、多くの映画人を輩出している京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)映画学科俳優コースでした。同大学では映画監督の林海象や俳優の永瀬正敏ら、日本映画界の第一線で活躍するプロフェッショナルから直接指導を受け、学生時代から実際の商業映画や自主制作映画の現場に身を投じました。
机上の理論ではなく、カメラの前に立つリアルな摩擦を通じて磨かれた表現力は、既存の枠にはまらない野性味と緻密な計算を両立させた「土居志央梨の個性」を確立させる土台となったのです。