「花粉を水に変える」というキャッチコピーは、花粉症に悩む多くの生活者に強いインパクトを与えました。しかし2026年7月17日、消費者庁は販売元であるDR.C医薬株式会社に対し、景品表示法第7条第1項の規定に基づき措置命令を下しました。
処分の対象となったのは、テレビCMやパッケージ、公式Webサイトに掲載されていた「マスクに付着した花粉・ハウスダスト・カビ等のタンパク質を分解して水に変える」という表示です。消費者庁は不実証広告規制に基づき、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めました。しかし、提出された実験データは「密閉された試験空間や試験管内での限定的なデータ」にとどまり、人間が実際に屋外でマスクを着用した動的な環境下で同様の分解反応が起きる証拠としては認められませんでした。
行政処分において問題視されたのは、技術そのものの存在ではなく、「消費者に実際の性能を著しく優良であると誤認させた表示方法」です。呼吸によって絶えず気流が発生し、短時間で微粒子を吸着するマスクの実使用環境において、花粉アレルゲンを瞬時に水へと分解し無力化するかのような訴求は、科学的根拠の基準を満たしていないと厳しく断じられました。